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Elzéard(エルゼアール)

都立大学 『Elzéard(エルゼアール)』


「圧倒的に保ちが違う」「ここで作ってもらって外したことがない」――本物を知るハイセンスなマダムたちからも絶大な支持を集めている、都立大学のフラワーショップ『エルゼアール』。際立つセンスの源を探ります。


「花屋は夢を売る仕事。天職に巡り会えたと思ってます」


看板に書かれている「Fleurs et Jardinage Elzéard」は、フランス語で「花とガーデニング エルゼアール」という意味。エルゼアールは、フランス人作家ジャン・ジオノの短編小説『木を植えた男』に出てくる、登場人物エルゼアール・ブッフェから――


それもあってか、店の佇まいはどこか、パリの街角にある花屋のよう。天井まで所狭しとディスプレイされている花やグリーンは、見た顔もあればなかなか見かけない珍しい種類もあって、自然界が織りなす見事な色のグラデーションに圧倒されるばかり。しかもそのどれもが茎も花弁もしっかりしていて、鮮度も抜群!


週に3回、2時半起きして、都内数カ所の市場をはしごしながら仕入れているそう。「琴線に触れたものだけをオーダー。いい花は発色がいいんですよ」(代表の池田正博さん)。



「全員可愛い子ちゃんなので、そう言われるのがいちばん嬉しい」

そう言って笑顔を見せるのは、代表の池田正博さん。


池田さんはもともとアパレル企業にいて、MD(マーチャンダイザー)として忙しい日々を送っていたという。MDとはマーケットやトレンドを分析して、半年〜1年先を見越して商品企画や販売計画、予算・売り上げ管理などを担うアパレル業界の“ブレーン”と言われる花形部署。海外に出張に行くことも少なくなかった。


「でもそれを続けるうち、あれだけ好きだったファッションが嫌になってしまったんです。常に半年先を追う生活だったので、自分たちが作ったものがどんな顔をして世に出ているのかを見届けることができないということに、しんどさを感じるようになってしまった。そんな時に知り合った女性が花屋の娘…いまのカミサンでした」(池田さん)


「市場でも、あのかたが好きそうな花だなって思いながら仕入れている自分がいて。地域密着の商売の良さだなと思います」(池田さん)



ちょうどその頃、“花の巨匠”と言われるフランスの『クリスチャン・トルチュ』に触れたことも大きかった。実際にパリのお店に行ったこともある。カメラを回しながら「ディスプレイから身のこなしから全てが素晴らしすぎて、手が震え、涙が出ていました」。


そうして花屋としての人生がスタートし、恵比寿、洗足、都立大へと居を変えながらキャリアは33年に。「正直、アパレルから転職してスタートした当初は、花が好き好きでたまらないというほどではなかった」と語る池田さん。それでも、どんどんハマっていった理由は?


「花は寿命が来たら枯れてしまう“儚さ”がある。でもそれがよかったんですよね。いま旬のものを、いま届けることができる。そんな儚さがありながら、人を癒したり、元気づけるパワーがある。花屋はそういう夢を売る仕事。天職に巡り会えたと思っています」(池田さん)


天井までグリーンに覆われた一角。マイナスイオンもたっぷり。



池田さんの琴線に触れた花々の中には、あまり見かけない色や希少種も少なくない、ように思える。独自ルートで仕入れているかと思いきや「いえいえ、95%は普通の市場ですよ」。


「5%くらいは生産者と直接やりとりしますが、他の花屋さんと全く変わらない仕入れ先です。もし違いがあるとすれば、セレクトしている色だと思います。いい花っていうのは発色がいいんですよ。それを選ぶ自信は、他の人よりちょっとだけあります(笑い)」(池田さん)


「誰かが手取り足取り教えてくれると言うことは本当にないので、背中を見ながら、自力でセンスを磨くしかない」と笑う、スタッフの太田智子さん。



そんなお店の雰囲気に一目惚れしたと話すのは、スタッフの太田智子さん。上京してすぐ、『エルゼアール』に初めて立ち寄ったその場で「働かせてください」と申し出たのだとか。積極的!


「もともと花が好きだったのもあるんですが、勢いでしたね(笑い)。

この仕事の難しさは、細かく言うとたくさんあるんですが…たとえば花束やアレンジを作る際で気を付けているのは、“その場に相応しい花を作る”という基本を抑えるということでしょうか。一口にお祝いやお悔やみと言っても用途はいろいろありますし、どこに置くかなどによっても、使う花の種類やサイズなども変わってくるんです。なので、そこをしっかり固めてから、お客様の希望するイメージに合わせて仕上げるようにしています」(太田さん)


「ご命日用の供花は、年月が経過するほど白とグリーンだけでなく、色味を入れるかたが多くなります」(太田さん)

「つい“綺麗”とか“可愛い”とか、お水替えをしながら声をかけちゃいますね。実際、保ちも違いますよ。頑張って、長く綺麗に咲いていてくれるんです」(太田さん)



天職に出会えたとはいえ、もちろん全てが順調ではなく、谷底も何度も経験したという。

「いろいろあり過ぎて覚えていませんが、いちばん大変だったのは、2011年の東日本大震災ですね。このビルを建てている最中に地震があって、なんとか6月に開店したんですが、オープンしても全くお客様が来なくて。あの時は毎日どうしようって必死でした」(池田さん)

「好きな花はたくさんありすぎて、聞かれても即答できないんですよ。でも『ミモザ』は娘の名前にもしたくらい、特別な存在かもしれないですね」(池田さん)



そうしたしんどい時に支えになった存在は?と尋ねると、池田さんは「お客様の存在です」ときっぱり。そして、苦言もありがたいと説明する。


「実は先日も“お任せで”と承ったアレンジが“イメージと違う”とお叱りを受けたんですけど、そのお客様は、何も言わずにうちを見切ってしまうのではなく、次はこうして欲しいという気持ちからちゃんと伝えてくださった。もう本当に感謝しかなくて。だから、常連のかたであっても、言っていただけた方が嬉しいんです。改めてそのかたの好みを確認できるし、それをきっかけに距離が縮められると思いますから。

いろいろな好みがあるのは当たり前ですし、うちは僕の好みの花しかない。それでもうちに来ていただいて“あ、いいな”とか“また来たいな”って感じてもらえるとしたら、すごく嬉しいですね」(池田さん)


エルゼアール’sヒトトナリ

水切りや手入れ方法など、尋ねれば親切に教えてくれるフランクさもありつつ、余計なものを押し売りしない上品な接客が心地いい。スタッフそれぞれが得意分野を担当し、寡黙かつスムーズに動く立ち居振る舞いは、まさにプロの技…!(取材日はたまたま不在でしたが、普段は素敵な奥様もいらっしゃいます!)


エルゼアール’s オトナリ

ヒブスマ オリエンタルカフェ

「洗足にいた頃から、同店オーナーの庄司さんには懇意にしていただいています。雰囲気も味も素敵なお店です」(池田さん)


Information

Elzéard(エルゼアール)


ADDRESS 東京都目黒区柿の木坂1-30-11 Friends柿木坂1F

TEL 03-3725-3381

OPENING HOURS 10:00〜18:00

CLOSED 水曜

RESERVATION 可

Instagram @elzeard_flower

HP http://www.elzeard.co.jp/


photo & text & movie:otonari編集部

(2022/4/14現在)


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