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SHOE REPAIR STANDARD

都立大学『SHOE REPAIR STANDARD』



都立大学駅から徒歩5分。「大切な靴を丁寧に直してもらえる」「料金が良心的」「仕上がりがとっても美しい」と、地元客だけでなくファッション好きにも絶大な信頼を寄せられているのが、靴修理・古靴販売の専門店『SHOE REPAIR STANDARD』。凄腕のリペアマン、店主・後藤弦二郎さんの根っこにあるものは、この仕事への飽きることのない情熱でした。


辞めるまでは“才能がある”と信じて

この仕事を続けていくつもり


一歩足を踏み入れると、革のいい匂いに包まれる。整然と並ぶ靴とバッグの向かい側にはセンスの良い古着が陳列され、セレクトショップのようでもあり、デザイナーのラボのようでもある。

『SHOE REPAIR STANDARD』の店内にいると、目に入るものすべてが(床のペンキのシミさえも…)アートに感じてしまうから不思議だ。そして当然、店主・後藤弦二郎さんの着こなしもスタイリッシュ!

(この日は、ボタンダウンの白シャツに『Yarmo(ヤーモ)』のワークコートを合わせ、ロールアップしたパンツからの白ソックスをチラ見せ、そして『GEORGE COX(ジョージコックス)』の靴を合わせるという、ロンドンパンクスタイル!)



店主の後藤弦二郎さん。世田谷・等々力生まれ。育ちの良さは穏やかな口調にも現れている。



そんな一分の隙もないおしゃれ番長を前にすると、つい「今日の靴、パカパカしてて恥ずかしいなぁ…」と羞恥心が湧き上がる。


「あははは! 確かに足の形的には、もっと履きやすいものはありそうかな。記者さんなら甲が高くて幅広の人でも履きやすい『パラブーツ』のミカエルフォックとか似合いそう。同じのはないですけど、試してみます?」(後藤さん・以下「」同)。



新品だと150,000円は下らないオールデンも、中古なので22,000円〜購入できる(もちろんコンディションは抜群!)。試し履きも自由にできるのがうれしい。オリジナルのレザー巾着(写真左・各13,200円)は、シンプルながら存在感があり、意外と容量もあって使い勝手◎(記者も愛用してます)。



気さくな言葉に感激しつつ、その審美眼には唸るばかり。おしゃれな人は靴を見るというけれど、ファッションを極めると行き着く先はやっぱり靴なのかも…。


「でもね、僕が靴修理屋になったのは最初から強い意志があったわけじゃなくて、流れで、なんですよね」


…と、いいますと?


「そもそも僕、高校は大学の付属だったんですけど、ちょっと遊びすぎて、エスカレーターで行くには成績が足りなかったクチで(笑い)。なんとな〜くツアーコンダクターの専門学校に行ったけど1年でやめて、アルバイトしながら週4でサーフィンしているような子だったんです。

でも、大学に行っている友達が就職するタイミングで僕も働かなきゃって思って、手を動かす仕事がよかったので看板屋に入社したんですよ。ただ、そこの看板屋は機械でデータを出力して、僕は貼るだけで。つまんないな〜と思っていたら、知り合いに声をかけられたんです。『靴修理、やってみない?』って」



サフィールやM.モゥブレイ、キィウィ、オールデンなど、国内外の靴クリーム・クリーナーを豊富に取り揃えている(コスメカウンターのよう…!)。

靴への偏愛を隠さない後藤さん。「ヨーロッパには『素敵な靴は素敵な場所に連れていってくれる』という諺がありますが、僕はいま、自分の人生にものすごく満足しているので、たしかに良い靴がここまで連れて来てくれたのかなと思います」。



波が来たら乗る――サーファーらしくシンプルに生きてきた後藤さんが、ついに運命の出会いを果たした瞬間だ。


「この靴修理が…すっごく良い仕事だったんです(笑い)。手を動かすのが好きっていう自分の性分にも合っていたし、お客さんにとても喜んでもらえて、かつ、代金も頂ける。多分初めてやりがいを感じられたんじゃないかなあ。

もともとファッションは好きだったので靴も好きでしたけど、何せサーファーだったから、その時まで革靴なんて履いていなくて。働き始めてから革靴の魅力をどんどん知っていきましたね」


天職に出逢った25才、ちょうど結婚したばかりの頃で、愛妻からも「靴の作り方を学んでみたら?」と背中を押してもらった。


「靴の学校に通って、セメント、グッドイヤー、マッケイ、ノルウィージャンなど、一通りの製法をマスターしました。ただ、ハンドメイドの靴ってデザイン性がないと売りにくいんです。僕はトラッドなものが好きだったし、そもそも安くてよくできている既成靴より、僕が作ったハンドメイドの靴が高い値段で売れるかというと、客観的に考えると難しかったんですよね」



どの角度にも縫える八方ミシン。余計な針穴を増やさぬよう、手回しで一針一針元の穴に落とす。ブランドの世界観を壊さない配慮がここにも。



そうして「靴職人」や「靴デザイナー」ではなく、「修理のできる靴職人」の道を選んだ後藤さんは、2005年に尾山台で独立。確かな技術と抜群のセンス、丁寧な接客で瞬く間に地域の人気店となった。下北沢に2号店を出店するなど順風満帆ではあったが、2013年にリセットを決意。これまでのお店はスタッフに託し、たったひとりで、ここ都立大学に『SHOE REPAIR STANDARD』をオープンさせた。


「オープン初日から夜中2時3時までやっても全然やり切れないくらい繁盛していたんですが、体力的には超辛くて。人を雇って回すようにしたんですが、それはそれで自分のやりたいことから少しずれてくる。それでもう1回、まっさらな気持ちで店をやろうと思ったんです」



靴底を削るフィニッシャーの横には、修理を終えた高級ブランドのパンプスがずらり。レディースのピンリフト(地面に接地するパーツの交換・両足)1100円〜、紳士のリフト(かかと補修・両足)2700円〜と、良心的な価格も同店が支持される理由のひとつ。



靴の修理を行うだけでなく、中古の革靴も販売しているのは、革靴に対するハードルを下げたいという思いから。


「そもそも革靴って、仕事でもプライベートでも、何かしらやる気のスイッチになっていると思うんです。個性が出るから、靴をきっかけに会話が弾むことだってある。コミュニケーションツールにもなり得ると思うんですよね。

でもその革靴はどうやって選んだのって聞くと、みなさん大体履きやすいからっておっしゃるんです。じゃあこれは?って尋ねると、履かれたことがないって言う。つまり、履きやすいって思い込んでいるだけで、履いたことのない靴の中に、もっともっと履き心地のいい靴があるかもしれないということなんです。


だからできるだけいろいろな靴を試してもらいたいけれど、靴って高いし、買う前の試し履きも新品だと歩き回るのって気が引けるじゃないですか。

なので、中古で試してもらいたいと思ったんですよ。うちにある中古の靴をどんどん履いて、質問があったらどんどん聞いてほしい。靴修理にかけての知識は、都立大学でいちばんだと自負していますから(笑い)」



息子・健太郎さんの古着ブランド『orgicc』は『SHOE REPAIR STANDARD』店内で扱うほか、オンラインショップ、ポップアップストアなどで展開している。



そんな父の背中を見てきた息子・健太郎さんも、自然とアパレルの道へ。弱冠20才にして、古着ブランド『orgicc』を立ち上げ、仕入れ・販売をしている。


「正直、靴の修理よりも、古着の方が難しいんじゃないかと思いますよ。立地も死活問題でしょうし、品数だって大手には敵わない。このスペースでどれだけのものを提供できるかは、センスや知識、経験でカバーしないといけない。彼は20才ですから、まだまだだと思います。でも、全部自分で気づいて本気でやらなきゃダメなことだから、僕からは直接あれこれ言わないようにしています。

ただまあ、本音を言うと、靴修理屋にだけはなって欲しくないんですよ。だって儲からないもの(苦笑)。それでいてこの仕事はやりがいがあるから、始めたらやり続けちゃうのも目に見えてる。公務員になれば?っていつも言ってるんですけどね(苦笑)」



イギリスの老舗ファクトリーブランド『Yarmo(ヤーモ)』のワークコートが後藤さんのトレードマーク。「いいモノを平気で汚すのってなんかかっこいいでしょ(笑い)」。

バイクいじりか、iPadで靴の画像をチェックするのが日課。「どんな靴をどんな洋服に合わせたら、どんなシルエットになるのか、ずっと見ちゃう。仕事のためじゃなく、単に好きなんです」。



「結局、どんな職業でも辞めたいと思うことはあると思うんです」と後藤さん。20年以上靴一筋だった後藤さんでさえも、そうした気持ちは現れたという。それでも辞めなかった理由は?


「水泳の(元日本代表)北島康介くんが(同じく元日本代表の)松田丈志くんに贈った言葉に、『お前はいままで続けてきたんだから才能があるんだ。才能がないやつが辞めていくんだ』というのがあるそうなんですけど…それ、超かっこいいじゃん!って思って(笑い)。

だから僕も、周りから『どうせうまくいかないよ』って水を差されても、ものすごく自信がなくなっても、そこで辞めなければ、続けていく限りは自分にはその才能があるって勘違いしていきたいんです」




SHOE REPAIR STANDARD’s ヒトトナリ

海外のアーティザン(職人)のような華やかなオーラをまといつつ、誰に対してもフラットに接してくれる気さくな人柄が魅力。笑い上戸でちょっぴりシャイな、素敵なお兄さん。若い友人が多いというのも頷けます!



SHOE REPAIR STANDARD’s オトナリ

BIONIC PLANTS、EE.L hair(イール)

「お隣の花屋BIONIC PLANTSのスタッフも、目黒通りの美容室EE.L hairオーナーの筒井くんも面白い人たちなので話が弾むんです。人柄とセンスがいいところに、つい行っちゃいますね」


Information

SHOE REPAIR STANDARD

ADDRESS 東京都目黒区八雲1-8-5 三和荘1F

TEL 03-6421-4210

OPENING HOURS 10:00〜20:00

CLOSED 水

RESERVATION 可

HP https://repair-standard.com/

Instagram @standardrepair


orgicc

オンラインショップ https://orgicc.base.shop/

Instagram @orgicc_1st



Photo:爲永(Instagram @naokitamenaga

Text:ツジモトユキジ

Movie:スギウラユウ

Direction : アサイシンイチロウ


(2022/7/15現在)


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