top of page

大衆酒場 アオギリ

学芸大学『大衆酒場 アオギリ』


飲食店が群雄割拠するこの地においても、飛び抜けた人気を誇る、学芸大学『大衆酒場 アオギリ』。看板もなく、25席という決して大きくはない店構えながら、毎晩満席御礼。オープンから10年経ってもなお、新規ファンを獲得し続けている人気の理由は、彼らの骨太なポリシーに隠されていました。


「常に最善の答えを探し続けないといけないのが、難しいけど楽しい」


学芸大学駅から徒歩2分、十字街にある『大衆酒場 アオギリ』は、いまやその名を知らぬ人はいないほど。空いていたらラッキー、深夜まで満席が続く、学大きっての超人気店だ。


十字街といえば、いまや飲食店が密集する飲兵衛にはなじみのエリアだが、2012年3月に『大衆酒場 アオギリ』が開店した当初は、人が寄り付かない通りだったのだとか。

そんな地でもファンを獲得し、確実にリピーターを増やしてきた理由は?


「僕が客として訪れたときに魅力を感じたのは、他のお店にはないメニューが多かったこと」と話すのは、スタッフの太田祐介さん。


「メニューを見ていただくとわかると思うんですが、大衆居酒屋っぽいメニューでありながらアイディアが光るメニューが結構散りばめられているんですよ。それに引っかかってお客様にはリピートしていただけているのかなと思います。

実はこれ、働く側からすると、アイディアを採用してもらえる自由さがあるっていうことでもあって。前職の居酒屋チェーン店だと『マニュアルに則って決められた盛り付けで出す』が全てでしたけど、ここでは盛り付けも味付けも、常に自分で最善の答えを考え続けないといけないんですよね。中途半端に仕事してちゃいけないなって、ここに来て強く思うようになりました」(太田さん)

手書きのお品書きで彩られた店内。創作メニュー&リーズナブルな価格が魅力。

台湾で人気のスパイス「マーガオ(馬告)」は、レモングラスのような爽やかな香り。肉にも魚にも合う、マーガオサワー(450円)。


太田さんは、18才から熱中していた音楽活動でメジャーデビュー直前まで行ったものの、バンド解散にて方向転換。飛び込んだ全国居酒屋チェーン店では、アルバイトから契約社員、正社員へとステップアップしつつ7年間勤めた。30才という節目に人生を見直し、転職。「こう」と思ったら突き進み、「違う」と思ったら別の選択肢を探す。シンプルで芯が通った生き様は、彼の接客スタイルにも表れている。


優男風な見た目に反して(?)、硬派男子。スタッフの太田祐介さんは「飲食の魅力は、厨房だったら調理や盛り付けの引き出しをどこまでも増やせるし、フロアだったら毎年新しい人と出会い、繋がっていけるところだと思う」。


「常に目線を上げるよう意識しています。自分が食事しに行って、気づいてほしいのになかなか店員が来てくれないときに嫌だなと思ったので。でも、目線を上げているとお客様だけじゃなく、スタッフの動きも見えるんですよね」(太田さん)


スタッフ同士の連携の良さ、風通しの良さは、一度来店すればすぐに窺い知れる。


「よく『男子校みたい』って言われるんですけどね(笑い)。

まあ、本心では、お互い思うことはあると思うんです、人なので。でもマイナスなことばっかり発言していたらお店も人も成長しないので、ここはいいとか、じゃあこうしてみたらっていう、マイナスもプラスもちゃんと話せることが大事なんじゃないかなと思います」(太田さん)


スタッフの大津厳さんは、「ペルー料理のこと何もわからんまま働いて、1年後もわからんままでした」と真顔でふざけられる生粋の関西人。(※現在大津さんは、学芸大学にある姉妹店『居酒屋ホドケバ』に勤務しています)



スタッフの大津厳(いつき)さんの経歴は、とてもユニーク。赤坂の有名割烹で5年間修行したのち、ワーキングホリデービザでカナダのペルー料理店に勤め、帰国後は副料理長として懐石料理店に勤務したり、トマト農家を手伝ったりしたこともある。


「もともと居酒屋で働きたかったんですが、まず技術をしっかり磨いてからと思って、伝統的なお店から始めて、いろいろ落とし込んでいこうと思ったんです。だからなのか、いままでは働くことってそこまで楽しくなくて…。でもいま、やっと念願の大衆酒場で働くようになって、毎日新鮮で。自分が考えた料理に修正がめちゃくちゃ入っても、そこにも発見があるので、楽しいですね」(大津さん)


高級懐石と比べて、大衆酒場のどんなところが魅力?


「懐石料理ってコースで提供するんですが、つまり料理人が提案したらお客様はそれを受け取るだけなんですね。でも大衆酒場では真逆で、お客様に選んでもらわないといけない。料理の内容もそうですけど、メニュー名もお客様に響くパワーワードを入れたものを考えなくちゃならない。

だからこそ、自分の考えた料理をお客さんが選んでくれて、美味しいって言ってくれたり、リピートしてもらえるとすごく嬉しいんですよ」(大津さん)


アイディア、即戦力ともに調理場の要として活躍するスタッフの馬込祐輔さん。「とんでもない予算じゃなければ、さまざまな食材や調理法を試させてもらえる自由さがあります」。

それぞれが独立したつまみになりつつ、一緒に食べると完全に肉じゃが! チャーシュー肉じゃが(650円)。

丁寧な仕事ぶりに定評がある、スタッフの西川健司(たけし)さん。「ご家庭でも卵焼きをきれいに焼くなら、火力をずっと強めにすること、油をけちらないことですね」。

大根おろしもいくらもたっぷり。誰もがわぁ!と歓声を上げてしまう、だし巻き玉子いくらのせ(850円)。



個性豊かな彼らをうまく束ねているのが、料理長の鈴木秀樹さんだ。「調理時間がもうちょっと短くなるなら任せられる」「この仕事はみんなにやってもらいたい」など、その言葉は的確で、説得力がある。


「この仕事は1人でどうこうできるものではないので、全体の流れを見ることとか、働くことへの姿勢が大事だと思うんですよね。でもそれって、口だけでわかれっていっても難しいだろうから、自分が態度で示すとか、タイミングによって声をかけるなどして伝えるようにしています。

結局こちらが若い子に伝えるときって、改まって言おうが飲み屋で軽く言おうが、どうしたって説教にはなってしまうので、威圧的にならないようにしないといけない。必要な情報をどのタイミングでどう出せば響くのかということはすごく気を使っています。

そういう意味では日々どうしたらいいか考えさせられるし、年長者という立場ではありますけど僕自身ももっと成長できる仕事だと感じます」(鈴木さん)

「自身の経験からアドバイスをするようにしている」と話す、料理長の鈴木秀樹さん。好きな女性のタイプは?と尋ねると、硬派な雰囲気から一転、ワンコっぽい笑顔に(ちなみに、マギーさんとのこと)。



超人気店となった『大衆酒場 アオギリ』の目指す先とは?


「無骨かもしれないけど、これまでアオギリがやってきたことを守り続けていきたいですね。言葉を変えると…美味しい食事を提供したり、きめ細かい接客はもちろんなんですけど、基本は、仕事は楽しくやる、ということ。やるべきことさえやっていればそこまでかしこまる必要もないし、抜けるところがあれば抜いてもいいと思っています。むしろこわばって仕事していると、2倍疲れてしまうから。

メニューに関しては、調理場の人間だけじゃなくてフロアの子たちからも『こういうのやりたい』っていうのをどんどん出してもらって、お店を活性化していきたい。

一見さんはもちろん、リピートしてくださるお客様にとっても、飽きのこないお店であり続けたいですから」(鈴木さん)


アオギリ’s ヒトトナリ


それぞれがいい動きをするプレーヤーでありながら、集まると“男子校”らしい、わちゃわちゃ感も。まかないタイムはカウンターに一列に座り、黙々と&思い思いに過ごす、ちょっぴり無骨な背中がクールです!


アオギリ’s オトナリ

酒場 鳩乃湯、スペイン料理バル エル・ロセヨ

「基本的に和食系か大衆系、昭和からあるようなお店で一人飲むのが好きですね」(太田さん)


Information

大衆酒場 アオギリ


ADDRESS 東京都目黒区鷹番2-20-19そしある学芸大学1F

TEL 03-6452-3500

OPENING HOURS 18:30〜25:30

CLOSED 無休

RESERVATION 可(当日以外の予約電話は18:30まで)

Instagram @aogiri_gakudai

HP http://www.aogiri-gakudai.com/


photo & text & movie:otonari編集部

(2022/4/14現在)




最新記事

すべて表示

TOKIYA

Comments


Commenting has been turned off.
bottom of page