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TOKIYA

学芸大学『TOKIYA(トキヤ)』


五本木の交差点からほど近い住宅街の、ストライプのタープがかかった一軒家。隠れ家的ビストロ『TOKIYA』は、アート系、ファッション系など感度の高い人たちから熱視線を浴びる話題のお店。恵比寿から学大へ、母から息子へ、和食居酒屋からビストロへーー進化していること、変わらないもの、目指すことを聞きました。


「想像できない組み合わせで美味しいと言ってもらいたい」


鯖と苺とパセリのテリーヌ、蝦夷鹿+牡蠣+春菊+ブラックベリー+ジャクソン・ポロック柄のシート、みかんのカツレツ…

見たことも聞いたこともない組み合わせながら、食べると“完全に”美味しい。


そんな異体験を味わえるとあって、グルメファンはもちろん、感度の高い業界人やお忍びで訪れる有名芸能人もちらほら。

グラスワイン1000〜1500円。あまり見ない珍しいナチュラルワインも、グラスで飲めるのが魅力。黒板に書かれているもの以外でも相談の余地あり。



『TOKIYA』はもともと、飯村登起子さんが腕を振るう和惣菜が美味しいと、恵比寿で人気を博していた家庭料理のお店。ビル老朽化に伴い、2008年に学芸大学に移転してきた。息子の藤大郎さんに代替わりしていく中で、提供する料理もまた、和食からフレンチへとシフトしていった。


「恵比寿の時には近所の人たちが来てくれていたんですけど、学大ではそれだけでは弱いなと思ったんです。ワインと、それに合うフレンチを勉強しました。ワインはスクールに行きましたが、料理は本とインターネットで。完全に独学です」(飯村さん。以下「」内同じ)


読了してきた料理本や洋書など、置かれているだけで絵になる。飯村さんやアート仲間のスケッチが転がっていることもあるので、店内を隅々までチェックするのも楽しい。



飯村さんは美大卒。それゆえ、彼の作り出す1皿はどれもアーティスティックでユニーク!

たとえば前出のジャクソン・ポロック柄※のシートとは、ジャクソン・ポロックが描く抽象画のような1枚のシートが料理にのっていて、そのシートが固形ソースになっているという斬新な一品。

(※抽象表現主義で知られるアメリカの画家。ちなみにシートはその時々で柄が変わるので、気になる人は事前に確認しておくと安心)


「料理にかけるソースって、冷めると固形になりますよね? だったら最初から固形化して、料理の熱で溶けるように発想を変えてみました。もともと絵を描いていたこともあって、色の関係性とか、絵の中の構図の関係性が料理にも当てはめられるなと思って。理系的な発想かもしれません」


とはいえ、最初からそうした感性を花開かせることは難しかったそう。自分がやるべき料理は何か? 自分にしかできない料理は何か? ――模索していた飯村さんがブレークスルーしたのは、2014年、鯖と苺とパセリのテリーヌを完成させたこと。


オーナーシェフの飯村藤大郎さん(愛称はとうたろうくん)。「全く味の想像ができない料理を食べてもらったうえで美味しいって感じてもらえると『やった!』って思います」



「鰯とか鯵、鯖みたいな青魚って、軽い赤ワインと合わせると美味しいっていうことを、ソムリエの資格を取って知ったんです。そういう赤ワインには苺やベリー、アメリカンチェリーみたいな味がするから、じゃあ鯖と苺を合わせてもいいじゃんって。

その時は無意識でしたけど、これが当てはまるならこっちにも当てはまる…っていう、アナロジカルに料理を作るのが自分は得意なんだと気づきました」


大きな白い平皿に色鮮やかなテリーヌ。これだけでも絵画のような美しさ。

サワークリームやフルーツソースなど、テリーヌを彩るソースは6色。

TOKIYAを代表するメニューとなった、鯖と苺とパセリのテリーヌ(夜コース5000円のうちの一皿。4月末ごろまでの提供)。軽く〆た鯖と苺のみずみずしさ、まとめ役のパセリが、驚くほどにマリアージュ!



ただ、そうしたアーティスト気質ゆえに苦労したこともあったそう。


「一球入魂しているせいで、注文が重なると出来上がりにばらつきが出てしまっていましたね。120点を出すこともあるけど、60点の時もあって…。

お客さんにはたくさん入ってもらいたいけど、忙しいとクオリティーが下がるっていうジレンマがありました。でもいまは、どんなに忙しくても90点以上のものを出せている自信があります。

成長した理由は…多分、これ作りたい!ってアイディアが浮かんでも、安定して提供する確信が持てるまで、自分の欲求を寝かせることができるようになったからだと思います。だから実はすっごい料理のアイディア、まだまだあるんです(笑い)」


「通年安定したナチュラルワインが入手できればいいんですけど、ないので…逆に、いましかない旬なものを仕入れるようにしています」

この日入荷していたペット ナット ロゼ2020(グラス1500円)。ドイツの若き天才醸造家兄弟ダニエル&ヨナスによる、低アルコール微発砲ナチュラルワイン。ラズベリーやハイビスカスのニュアンスが、“鯖と苺”の組み合わせにもベストマッチ。



アーティスティックでハイテクノロジーな料理ではあるけれど、コスパは抜群。ランチコースは3品で2500円、ディナーは5品で5000円!

1皿1皿のポーションが大きいのも、母譲りの気前の良さから。


「山手線内がニューヨークのマンハッタンだとしたら、この辺はブルックリンっぽい雰囲気。ここで文化的な料理を作って発信するのは、意義があることだと思っています。それにそういうことを考えている人達もけっこう多いので、一緒に頑張りたいですね」


TOKIYA’s ヒトトナリ

肩書きは「独学料理人、月曜画家、草野球選手」。Instagramでの愛犬探しシリーズ『愚犬、諭吉。』にファン多数。アーティストらしい繊細さと優しさを持ちながら、人当たりはほんわかマイペース。興味のある話題には目をキラキラ輝かせて饒舌になる、少年っぽいところも。


TOKIYA’s オトナリ

居酒屋まんぼう

「刺身が本当に美味しくておすすめ。うちもたいがいだけど、『まんぼう』さんは安すぎる(笑い)。駅前に移転して席数増えるそうなので、楽しみです」(飯村さん)


Information

TOKIYA(トキヤ)


ADDRESS 東京都目黒区五本木2-53-12

TEL 03-6383-1803

OPENING HOURS 12:00〜15:00(LO13:30)/18:00〜23:00(LO21:00)

CLOSED 月

RESERVATION 可

Instagram @totaroiimura


photo & text & movie:otonari編集部

(2022/4/14現在)


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